「ひゃく」を覚えた瞬間

どうも、僕です。

遠い昔の記憶。
あれはいつのことだろう。

多分、小学校に上がるか上がらないかくらいの時の話。

私はこたつで寝っ転がってテレビを見ていた。

母が作る夕食の匂いと包丁で食材を刻む音がいいリズムで聞こえてくる。

私は何故か数字を数えだした。


「いーち、にーい、さーん、しーい…」


何故だか分からないが大きな声で数字を数えた。

母の顔は見えなかったが、包丁で刻む音と上手く調和していた。


「きゅうじゅうなな、きゅうじゅうはち、きゅうじゅうきゅう…」


数字が止まった。

私はその先が分からなかった。

次の数字を知らなかった。


その時、母が

「その次はひゃくって言うとよ。」



「ひゃーく。」



この時初めて「ひゃく」と言う数字を知った。


母はとても優しい顔をしていた。


その日の夕食はとても美味かった。


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