オレンジ

どうも、僕です。



穏やかな時間が流れる。
遠くで小さな少女が手を振っている。


私は肌寒さで目を覚ました。
離陸して1時間ほど過ぎたところだった。
どうやら夢を見ていたらしい。

窓の外を見ると上半分は紅く、下半分は闇に包まれた幻想的な景色だった。

その闇を辿ると無数のまばゆい光が遠くでゆらゆらと揺れながら近づいてくる。

あの光は東京だ。

機内が暗くなった。着陸体制に入るのだろう。

隣で小説を読んでいた男性は本にしおりを挟み、目を閉じた。


ぼんやりとしていた小さい光がはっきり見えてくる。

そして小さな光の集まりは大きな街になった。

夢の中で手を振る少女はこの光の中で生きていく私をどう見ていたのだろう。

そもそも今の私はこの無数の光に埋もれて見えないかもしれない。



ゴォーっと激しく揺れながら揺らめく光の中に着陸した。

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